システム開発とは、課題解決のための「仕組み」を指しますが、開発するシステムの目的に応じてさまざまな種類があります。
システム開発を依頼したくても、どのようなシステムを導入すべきかよくわからない方もいるでしょう。
そこで当記事では、システム開発の種類を紹介し、それぞれの特徴や将来性を解説します。
最後まで読めば、システム開発にはどのような種類があるか理解でき、自社に適したシステム開発が何か判断できるでしょう。
INDEX 目次
まずは、そもそもシステム開発とは何か確認しておきましょう。
システム開発とは、企業や個人が抱える課題を解決するための「仕組み」を作るプロセスです。ビジネス上の目標や課題に対して、コンピューターシステムを活用して効率的な業務処理やデータ管理、顧客サービスの向上などを実現するために用いられます。
単純にウェブサイトを構築したりプログラムを作成したりするだけでなく、目標・課題を的確に抽出し、最適な「道具」を最小限のコストで作ることを目指します。
そのため、特定の業務を効率化するためにシステム開発会社に依頼せずとも、エクセルやスプレッドシートを活用することもシステム開発の一種です。
そんなシステム開発にはどのような種類があるか、次章で詳しく見ていきましょう。
種類 | 目的 |
---|---|
オープン系 | 柔軟性が高く、開発工数やコストを抑えられるシステム |
WEB系 | Webサイトやモバイルサイトで使用するシステム |
汎用機系 | 機密性が重視される業界で使用される業務システム |
組み込み系 | 特定の機能を持つ製品に組み込まれるシステム |
パッケージ系 | 基本的な機能を事前に開発されており、利用者がカスタマイズして利用するシステム。 |
システム開発の種類は、上記のように大きく5つに分類されます。
用途が異なるだけでなく、費用や開発工数なども変わるため、各システムの特徴を把握しておくことが大切です。
では、各システム開発の種類の特徴を詳しく解説していきます。
オープン系システムとは、技術仕様やソースコードなど公開されているハードウェアやソフトウェアを用いて開発するシステムです。スキルを持ち合わせているエンジニアが多く、システム開発会社が最も対応しやすいシステム開発とも言えます。
オープン系は、公開されているハードウェア・ソフトウェアを自由に組み合わせられるため、自社の要望に合わせた柔軟性の高いシステムを開発できるのがメリットです。勤怠管理や顧客管理など、PCで動かすことを前提とした業務システムで用いられることが多くあります。
その反面、オープン系はセキュリティ面が脆弱になりやすく、メンテナンス・アップデートを頻繁に行う必要があります。特に、企業の中核業務を支える基幹システムをオープン系で開発する場合、技術仕様と要件の統合や異なるプラットフォーム間の連携など、システムがどうしても複雑化するため、堅牢なセキュリティ管理が求められます。
Web系とは、インターネットの活用を前提に開発されるシステムです。Yahoo!やGoogleなどのブラウザ、Amazonや楽天などのECサイトがWeb系システムの代表例と言えます。広義では、スマートフォンにインストールするアプリケーションもWeb系システムに含まれます。
そのため、Web系は不特定多数のユーザーを対象とするシステム開発で用いられることがほとんどです。また、近年はリモートワークが普及したことで、業務システムをWeb系で開発することも増えています。
Web系のメリットは、オープン系と同様に柔軟性の高い開発ができることに加えて、拡張性の高さが挙げられます。一度システムをリリースした後でも、機能をアップデートしたり新しい機能を随時追加することが可能です。
ただし、インターネットを介してシステムを利用することから、大量のデータ通信や高度な計算が行われると処理速度が低下する恐れがあり、パフォーマンスの制約がある点がデメリットです。また、さまざまな端末で操作できるよう、UI・UXにこだわる必要もあります。
汎用系は、メインフレームもしくはホストコンピュータと呼ばれる、大型のコンピュータに準拠する言語や環境で開発されるシステムです。大企業や官公庁の基幹システムや金融機関の勘定系システムなど、エラーが許されない数十億以上の計算・取引を、リアルタイムで処理する必要があるシステムで用いられます。
汎用系は、セキュリティが堅牢で障害性に優れたシステムを開発できますが、利用するメインフレームに大きく依存するため、オープン系やWeb系と違ってクローズドな開発となります。メインフレームの理解が求められることから専門性が高く、開発はメインフレームの製造メーカーが行うこともあります。
また、開発期間は数年以上になることがほとんどで、開発費用は数百億円以上かかることも珍しくありません。
組み込み系は、家電や制御機器、医療機器など、特定の用途に特化して開発されるシステムです。事前に機器へ組み込むため、限られたリソースでリアルタイムで処理しつつ、高い耐久性が求められます。
オープン系・Web系・汎用系と違って、開発難易度そのものは高くないものの、メンテナンスやアップデートが困難なため、あらゆる状況を想定してシステム開発する必要があります。
パッケージ系は、基本的な機能が事前に開発されており、自社の用途に合わせてカスタマイズして利用するシステムです。代表的な商品として、SAPやSalesforceが挙げられます。
パッケージ系はシステム開発会社に依頼してシステム開発をする必要がなく、初期費用を抑えて素早くシステムを導入できるのがメリットです。ただし、商品によってはライセンス料が必要なため、パッケージを利用している間は維持費用がかかることに注意が必要です。
ただし、パッケージ系は事前に用意された機能しか使えないため、柔軟性に欠けていることがデメリットです。自社の業務フローに合わせることが難しく、場合によっては業務フローを変更して、パッケージ商品の仕様に合わせる必要があります。
そのためパッケージ系は、複雑な要件や独自の機能を必要としない場合や時間をかけずにシステムを導入したい場合に向いています。
種類 | 主な開発事例 |
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オープン系 |
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WEB系 |
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汎用機系 |
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組み込み系 |
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パッケージ系 |
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ここでは、システム開発の各種類で主な事例を紹介します。
オープン系は企業の業務システムで用いられることが多く、業務効率化や業務情報の管理が主な用途となっています。企業の大きさによって開発規模が変わるため、開発費用や開発期間はプロジェクトによって大きく変わります。
Web系は不特定多数のユーザーが利用するシステムで用いられますが、近年は業務システムもWeb系で開発されることが主流になりつつあります。想定するユーザー数によって開発規模は変わるため、場合によっては開発費用が数十億円にのぼるプロジェクトも存在します。
汎用系は大企業や官公庁、金融機関の中核となるシステムで用いられることがほとんどです。自然と開発規模が大きくなるため、数百億円の予算をかけて数年単位で開発することが多々あります。
組み込みシステムは、機器を製造するメーカー自身もしくは関連会社で開発するのが一般的です。近年では、IoTやAIなどの最先端を用いた開発も増えています。
パッケージ系は、会計や人事などあらゆる企業に共有する業務に関連する商品はもちろん、各業界に特化した商品も開発されています。競争が激しく、仕様や機能のアップデートが日々行われているシステムです。
上記は、あくまで一般的な事例です。特に最近はシステム開発の種類に明確な違いが無くなりつつあるため、実際にシステム開発を行う際は自社の開発目的や用途に合わせて選びましょう。
ここでは、システム開発の種類によって、今後どのような変化が起こるのか将来について解説していきます。
まず、オープン系の将来性は今後も一定の需要が見込まれます。社内ネットワークで完結できるシステムや限られた人だけ使えるシステムなど、企業独自のニーズがあるためです。
Web系は、他のシステム開発と比べて最も需要が伸びると予想されています。スマートフォンやリモートワークなどの普及によって、さまざまなシステムがインターネットで接続されるニーズが高まっているからです。
一方、汎用系の将来性は需要自体は大きくないものの、専門性が高く人材が不足していると言われています。若手のエンジニアが不足しており、高齢化が進んでいることも問題視されています。
組み込み系の将来性は、IoTやAIなどの最新技術が用いられることが多く、引き続き需要が見込まれています。
パッケージ開発の将来性は、インターネットを利用した商品開発のニーズが高く、従来のパッケージ商品の需要は減りつつあると言われています。開発会社の競争が激しく、常に機能・サービスの向上が求められています。
種類 | 目的・用途 |
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オープン系 |
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Web系 |
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汎用機系 |
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組み込み系 |
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パッケージ系 |
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システム開発の種類に応じて、よくある開発目的や用途を表にまとめてみました。
システム開発の種類を選ぶ基準は、プロジェクトの要件や目的によって異なります。開発コストや開発期間、運用・保守の容易さなど、自社のプロジェクト目的や要件に応じて、最適なシステム開発の種類を選択してください。
また、実際にシステム開発の種類を選ぶ際は、既存システムの環境や技術スタック、将来の拡張計画なども重要な要素です。そのため、どのシステム開発の種類が適切か判断できない場合は、システム開発会社に相談するのをおすすめします。
ここまで、システム開発にはどのような種類があるか、特徴や違い、将来性を解説しました。それぞれ適したシステムがあるものの、実際は自社の開発目的や用途に応じて変わります。
そのため、これからシステム開発を行いたい場合は、システム開発会社に相談して自社に最適な提案を受けることがおすすめです。
そこで、ここからはシステム会社選びで押さえておきたいポイントを解説します。具体的には、以下の5つが挙げられます。
システム開発会社を選ぶポイント
それぞれ具体的にどう見るべきか、簡単に解説していきます。
開発会社が持つ技術力や専門性は、プロジェクトの成功に直結します。過去の実績や開発した製品の質、専門分野の知識・ノウハウがどれくらいあるか確認しましょう。
プロジェクトをスムーズに進めるためには、開発会社とのコミュニケーションが重要です。見積もり相談を依頼した際に、レスポンスの速さや報告・連絡・相談(ホウレンソウ)の徹底度をチェックしてみてください。
システム開発は企業にとって重要な投資の1つです。単純にコストが安いシステム開発会社に依頼すると、想定とは違うシステムが納品されたりトラブルが発生したりするリスクがあります。自社の要望や開発したい機能がしっかり組み込まれたうえで、コストが安いシステム開発会社に依頼しましょう。
システム開発は納品して終わりではなく、運用・保守も重要な要素となります。納品後のトラブル発生時に素早く対応してくれるか、システムのメンテナンス・アップデートにしっかり対応してくれるか、アフターサポートの充実度も確認することが大切です。
システム開発の内容によっては、自社の機密情報を共有する必要があります。システム開発を依頼したことで、情報漏洩によるトラブルが発生することも少なくありません。システム開発会社のセキュリティ対策の体制を確認し、信頼できるパートナーになるかどうか判断しましょう。
当記事では、システム開発の種類とそれぞれの特徴や将来性を解説しました。最後に、システム開発の種類を理解するポイントを下記にまとめておきます。
システム開発の種類のポイント
システム開発の種類を理解すれば、自社が開発したいシステムに合うものが何か判断できます。ただ、実際に開発する際はシステム開発会社に相談して、最適な開発方法を提案してもらいましょう。
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