システム開発は、企業の業務効率化や、ビジネス的な競争力向上に不可欠です。 この記事では、システム開発を検討中の方のために、システム開発の活用事例、手法、費用相場、体制、開発の流れ・工程、 システム開発を外注する場合と内製する場合の比較など、システム開発の基本を解説します。
システム開発の基本を押さえて、プロジェクトの成功につなげましょう。
INDEX 目次
システム開発とは、企業や自治体などが抱える課題を解決するための仕組みをつくることです。
そのための手段として、IT技術やインターネットを通じてwebサイトやプログラムなどを開発することもシステム開発に含まれます。具体的には、従業員の勤怠管理システムや顧客情報管理システムの開発などが挙げられます。
システム開発=IT技術でwebサイトやプログラムの構築するイメージが強いかもしれませんが、システム開発の本質的な目的は、課題を的確に抽出し、最適な道具を最小限のコストで開発することです。
さまざまなツールやサービスが存在する近年、システム開発を行わなくても、既存のツールやサービスを利用すれば課題解決につながることも多いかもしれません。
それでは、既存のツールやサービスを利用することに比べて、システム開発のメリット・デメリットは何でしょうか。大きく以下のようにまとめられます。
システム開発のメリット | システム開発のデメリット |
---|---|
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|
ひとつずつ見ていきましょう。
システム開発のメリットは、最適なシステムを柔軟に開発できることです。既存のツールやサービスでは対応しきれない、独自の業務プロセスやデータ管理方法などに合わせてシステムを開発できます。
これにより他社との差別化につながったり、はじめは最小限の機能で開発し事業の成長につれて段階的に機能を拡充するといった柔軟な対応が可能だったりします。
システム開発のデメリットは、既存のツールやサービスを利用することに比べてコストや時間がかかる点です。
また、開発後に運用や保守も必要です。開発したシステムのモニタリングやトラブルの解決など、システムの継続的な管理が求められます。このため、運用保守担当者を内部で配置するか、外部に委託するかなどの検討も欠かせません。
「システム開発」といっても、システムにはさまざまな種類があります。システム開発として開発されることの多い、おもなシステムの種類を紹介します。
種類 | 概要 | 方法 |
---|---|---|
基幹系システム | 業務に不可欠なシステム |
|
情報系システム | 業務を円滑にするために必要なシステム | |
組み込み・制御系システム | ハードウェアなどに特定の機能や制御を組み込むシステム | |
Webシステム | インターネットを通じて情報を処理するシステム |
会計、人事、生産、販売などの情報を管理するシステムを指します。経営にとって不可欠な業務を指し、これらのシステムが停止すると経営がストップする可能性がある重要なシステムです。
例:販売管理、生産管理、人事管理、財務会計システム、ERPなど
行政機関や金融機関などで使用される基幹システムのことを「汎用系業務システム」ということもあります。運用保守が継続的で、新規開発は少ないことが特徴です。
顧客情報、営業活動といった顧客関連業務をサポートするシステムや、メールやチャット、スケジュール管理などの業務を円滑に進めるために必要なシステムを指します。利用できないと業務に支障は出るものの、他のツールで代替可能なシステムです。
例:顧客管理(MA)、顧客管理(SFA)、顧客管理(CRM)システムなど
先述の基幹システムや業務支援システムのように、企業内の業務プロセスを効率化し情報管理をサポートするシステムを「業務アプリケーション」ということもあります。
家電製品、自動車、輸送機器、医療機器などに特定の機能や制御を組み込むシステムを指します。
例:コピー機、カーナビ、家庭用ゲーム機、オーディオ機器など
ネットショップ、予約システム、マッチングシステムなど、インターネットを通じて情報を処理するシステムを指します。
例:ECサイト、CMS、予約システム、マッチングシステムなど
こうしたさまざまな種類のシステムを「デスクトップアプリケーション」「Webアプリケーション」「モバイルアプリケーション」といった方法で開発することが一般的です。それぞれ説明します。
パソコンにインストールして使用するアプリケーションです。WordやExcel、PowerPointなどのオフィスソフトなどを指します。
Webブラウザで使用するアプリケーションです。ブラウザからアクセスするWebサイトなどがこれにあたります。
iOSやAndroid向けのスマートフォンやタブレット向けのアプリケーションを指します。アプリストアからダウンロードして利用します。
システムの種類によって異なる開発技術が必要なため、システム開発会社はニーズに応じて最適な開発方法を選択します。システム開発を検討する際にはこれらの種類や特徴を理解することが大切です。
システム開発はさまざまな業界で業務の効率化やサービスの向上に活用されています。業界別に具体的なシステム開発の事例を紹介します。
(画像参照:マイナビ)
人材業界で多く提供されている「求人サイト」は、求職者と企業をマッチングさせる仕組みを実現するシステムです。求人情報や応募者情報の管理機能などが開発に含まれます。
また、求人サイトと異なり企業が求める人材に直接アプローチする「ダイレクトリクルーティング」もシステム開発の一例です。求職者のデータベースから企業が求める人材を見つけ出しアプローチできるよう、求職者データベースの検索機能や、求職者の企業ページへのアクセス履歴を追跡する機能などが開発されます。
また、企業に関する人々のクチコミ情報を収集する「口コミサイト」は、口コミを自由に投稿できる機能、口コミ品質を保つための機能や、口コミ情報を求人媒体に転送する仕組みなどを開発します。
見積もり、受注処理、生産、販売、仕入、在庫管理、会計などの工程を管理するシステムの開発によって、原価や粗利の把握をはじめ、伝票発行、請求書、入金処理、会計などの業務を正確かつ効率的に行なうことを目指します。
これにより、生産性向上やそのための改善点を見つけることにもつなげやすくなります。
流通業界の場合、担当ドライバーの作業実績の一元管理や自動計算、現在地の把握などが可能なシステムの開発があります。
これにより業務効率やサービス品質の向上につなげることなどが可能です。
保険業界では、たとえばコールセンターで顧客の問い合わせ内容を迅速に処理するためにシステム開発が活用されています。
これにより、データベースに登録されている顧客情報をオペレーターが素早く確認し、適切な対応を行ったり、顧客の過去の履歴や保険ポリシーに基づいて、顧客にあった提案ができたりします。これにより顧客満足度や売上の向上などを目指すことも可能です。
放送業界では、番組の制作や配信にシステム開発が活用されています。たとえば、放送内容をアーカイブし、必要に応じてアーカイブから取り出して再利用したり、テレビとWebで同時に映像を配信するシステムを導入したりしています。
このように、システム開発は多くの業界で効率性やサービスの品質向上に貢献しており、テクノロジーの進化に合わせて新たな利用方法も生まれています。
システム開発には、プロジェクトのコスト、期間、規模、依頼側の経験などに応じて最適な手法が異なります。以下に代表的な開発手法を紹介します。
開発手法 | 概要 |
---|---|
ウォーターフォール | 工程を順番通りに完了させる |
アジャイル | 計画、設計、実装、テストのサイクルを繰り返して完成を目指す |
スパイラル | 段階的に試作品を作りながら完成を目指す |
プロトタイピング | 試作品の検証と修正を繰り返して完成を目指す |
DevOps | 開発と運用を連携させる |
ウォーターフォールは、プロジェクトの初めに詳細な計画を立て、その計画に合わせて順番に開発を進めるシステム開発の手法です。各工程で厳格な文書化が行われることもあり、一度工程が進むと、後戻りが難しい特性があります。
ウォーターフォールによるシステム開発のメリットは、スケジュール管理がしやすく、工程ごとに作業を分割しやすい点です。
一方で、途中で仕様を変更することが難しい点や、文書作成に時間がかかる点に注意が必要です。
アジャイルは、システムを小さな単位に分割し、優先順位に基づいて段階的に機能を実装するシステム開発の手法です。全体の仕様を最初に確定せず、分割した単位ごとに要件定義、設計、実装、テスト、リリースという開発工程を繰り返すことが特徴です。
ウォーターフォールとは異なり、仕様変更を柔軟に受け入れながらシステムを開発することが可能です。
ただし、開発側と綿密にコミュニケーションをとる必要がある点、プロジェクトに関わるメンバーが設計からテストまで幅広いスキルを持つ必要がある点は留意するべきでしょう。
スパイラルは、ウォーターフォールとアジャイルを組み合わせたようなシステム開発の手法です。機能をいくつかの段階に分け、段階ごとに試作品を作成し、フィードバックを受けてシステムを改良します。すべての機能が完成した段階で一括してリリースします。
プロトタイプは、システム開発の初期段階で簡易的な試作品を素早く作成し、ユーザーの評価を通じて、検証を繰り返しながら改良を行うシステムの開発手法です。
課題を早期に発見し、全体の開発工数を削減できる利点があります。また、ユーザーの評価を受けながらシステムを開発していくため、ユーザーの要望を反映しやすいシステム開発の手法です。
DevOpsは開発と運用を連携させるシステム開発の手法です。開発から運用まで一貫してシステムを管理することで、リリースまでの期間短縮や品質向上を実現します。
各プロジェクトには最適な開発手法があり、プロジェクトの要求事項や制約に合わせて選択することが重要です。これらの開発手法は、プロジェクトのニーズや状況に応じて選択されるべきであり、企業によってはこれらの手法を組み合わせたり、独自の手法を採用することもあります。
システム開発にかかる費用は、開発するシステムの内容などによって大きく変動しますが、ここでは費用を算出する際の考え方と費用相場の一例を紹介します。
システム開発にかかる費用は、「人件費+諸経費」で決まります。それぞれ具体的な算出方法や、どのような項目が含まれるかなどについて説明しましょう。
人件費は、システムを開発するために必要な人員や工数にかかる費用(技術者の給与)を指します。一般的に、システム開発プロジェクトの費用の約8割は人件費に充てられるとも言われており、システム開発の費用の大半を占めます。
システム開発の人件費は、通常「人月」単位で計算します。これは、1人の技術者が1日8時間、1ヶ月20日間作業すると仮定したときの作業量を表すものです。
人月を基にすると、システム開発にかかる人件費は、たとえば以下のように計算できます。
→(50万円 × 4人) × 5ヶ月 = 1000万円
また、システム開発の人件費は、以下の条件などにより大きく変動します。
システム開発に必要な技術者の数が多いほど費用が増えます。開発するシステムの規模が大きかったり、内容が複雑だったりするほど必要な技術者の数は増えます。
技術者のスキルや経験に応じて、1人あたりの単価が異なります。初級の技術者ほど単価が低く、上級技術者は単価が高い傾向があります。
また、技術者の単価は地域や企業の規模によって異なる場合もあります。たとえば、同じ条件の技術者でも、大都市の大手企業では、下請け企業、個人事業主、地方企業などと比べて技術者の人月単価が高いことがあります。
システムの開発に必要な期間や作業日数も費用に影響します。必要な期間が長いほど費用が高くなります。
システム開発にかかる人件費以外の諸経費には、以下などが含まれます。
それぞれ見ていきましょう。
開発に必要な機器(パソコンなど)やサーバーなどの購入費用、ソフトウェアのライセンス料などが含まれます。
開発作業用のオフィススペースの賃料、電気代、光熱費などが含まれる場合もあります。
技術者がシステム開発プロジェクトに参加するための交通費が発生する場合もあります。
システム開発を検討する際には、これらの費用も考慮して予算を立てることが重要です。
ここまで、システム開発の費用のほとんどを人件費が占め、開発する内容によって「技術者の数」「単価」「開発期間」が変わり、費用が決まることを説明しました。
以下は、システム開発の内容や期間、体制の一例です。
開発内容例 | 開発期間例 | 体制例 |
---|---|---|
マッチングアプリ開発 | 3カ月程度~ |
|
Webサイト検索システム改善 | 2カ月程度~ |
上記のマッチングアプリ開発を例に、費用を計算してみましょう。
→(50万円 × 5人) × 3ヶ月 = 750万円
上記はあくまで一例であり、システム開発の費用は、既存のシステムに一部機能を追加するなどで50万円程度~と比較的安い場合もあれば、数千万円以上かかる大規模なシステム開発もあり、開発内容に応じて大きく変動します。
そのため、まずはシステム開発へ相談のうえで費用感を確認することがおすすめです。
システム開発には、具体的にどのような体制や役割が必要なのでしょうか。一般的なシステム開発で必要な役割とそれぞれの主な業務について紹介します。
システム開発プロジェクトの意思決定者で、プロジェクトの方向性や目標を設定する役割です。
予算やスケジュール、人員調整など、システム開発プロジェクト全体のマネジメントを担当します。進捗管理をしながら、トラブルやリスクへ対処し、必要に応じて計画を調整します。
また、PMをサポートする役割としてプロジェクトマネジメントオフィス(PMO)が配置されることもあります。
システム開発プロジェクトの現場責任者として、開発作業を指揮し進捗管理を行います。
PLをサポートする役割としてサブリーダー(SL)が配置され、PLの指示を受けながらシステム開発プロジェクトの一部を担当することもあります。
開発するシステムに必要な機能を基にシステムの設計や計画を検討し、システム全体の設計図(仕様書など)を作成する役割です。システム開発プロジェクト全体を技術面で設計・管理する立場ともいえるでしょう。
PMを兼ねる場合があったり、一部プログラミング作業を行なったりすることもあります。
SEが設計した仕様書に基づいてプログラミングを行ったり、プログラムが正常に動作するかを確認するためテストを実施したりします。
SEとPGの違いとして、SEが設計やプロジェクト全体の管理を行う役割、PGが実際にコードを書いてシステムを構築する役割といえるでしょう。
システム開発プロジェクトの体制や配置されるメンバーの単価は、開発するシステムの規模や難易度、開発に必要な期間などによって異なります。
システム開発会社に全てを丸投げしてしまうと、結果として希望通りのシステムを開発できなかったり、スケジュールや費用などに影響したりする場合もあります。このため、システム開発がどのような流れで進み、それぞれの工程でシステム開発会社とどのようにコミュニケーションを取るべきかを理解することは大切です。
システム開発の流れは、大きく「発注」「開発」「運用」に分かれ、具体的には以下のステップに分けられます。
それぞれのステップについて詳しく説明しましょう。
システム開発の外注依頼を検討している場合、まずはシステム開発会社へ相談し、システム開発会社からの概算見積もりや提案をもとに発注先を選ぶ流れが一般的です。
相談の前に、以下を明確にしておくと良いでしょう。
実際にシステムを利用する方にヒアリングなどをしながら情報収集することもおすすめです。これにより、現状の課題や、開発するシステムに必要な機能などがより明確になります。
システム開発会社へ相談する際、事前にRFP(提案依頼書、Request for Proposal)を準備してシステム開発会社に共有できると、見積もりの精度を高めることができスムーズです。
RFPは、システム開発会社に提案や見積もりを求め、どのようなシステムを開発したいのかを伝える役割を果たす書類です。
RFPを作成する際は、以下の項目が含まれていることが多いです。
システム開発の概要 | システム開発の背景、目的 |
---|---|
現状のシステムの概要 | (既存のシステムがある場合に記載) |
提案依頼事項 | システムに必要な機能、システムの利用者、運用条件(利用時間)、納品スケジュール、予算、システムの構成、開発体制、開発言語 |
提案手続き | 提案スケジュール、担当者 |
開発条件 | 開発期間、開発場所 |
保証要件 | システム品質保証基準 |
契約事項 | 発注者、支払い条件、保証年数、秘密保持や著作権等 |
システム開発会社からの提案や見積もりが揃ったら、依頼先を選定し、発注に至ります。
システム開発を発注後、いよいよ開発に進みます。システム開発の最初のステップは要件定義(Requirement Definition、RD)です。
要件定義では、現状の課題や必要な機能を確認しながら、システムを開発する範囲やスケジュール、費用などを明確にします。システム開発を外注依頼する場合は、システム開発会社がシステムの発注者へヒアリングしながら要件定義書を作成することが一般的です。
要件定義が曖昧だと、後の工程で以下のような問題が生じる可能性も高くなります。
こうしたトラブルを防ぐためにも、関係者間でコミュニケーションを取りながら要件を明確にすることが欠かせません。
システム開発では、要件定義に基づいて「設計」を行ないます。設計工程は、一般的に基本設計(外部設計、概要設計)と詳細設計(内部設計)の2段階に分かれています。
まずは基本設計について説明しましょう。基本設計では、ユーザーが操作する部分を中心に、開発するシステム全体の概要を設計し、画面や操作概要を記載した「基本設計書」を作成します。基本設計書に記載するのは、具体的には以下のような内容です。
詳細設計(内部設計)では、基本設計に基づいて、システムの実装方法を設計します。データベース設計、アーキテクチャ設計、API処理といった、実装するために必要な開発者向けの設計図を作成します。
こうした内容は、通常、システム開発を依頼する方には開示されないことが多いですが、その存在を認識しておくことが大切です。
詳細設計で策定した内容に基づいて、開発者がシステムの機能を実装するのが「プログラミング(実装、開発)」です。さまざまなプログラミング言語を使用してプログラムを記述(コーディング)します。
プログラミング完了後、開発したシステムが正しく機能するかを確認するため、テストを行ないます。
システム開発のテストには、以下のようにさまざまな種類があり、品質が基準を満たしているか確認します。
単体テストでは、各画面や機能を単独でテストし、正しく動作するかテストします。
結合テストでは、他の機能やシステムと連携させて、連携が正常に行なわれるかをテストします。
総合テスト(システムテスト)では、実際に利用することを想定して、システム全体の動作をテストします。
受け入れテストでは、設計通りに機能が実装されているか、使いやすいかなどをテストし、開発システムを期待通りに利用できるか評価します。
システム開発のテストでは、一般的には開発会社が単体テスト、結合テスト、総合テストを行ない、完了後に開発の依頼者が「受け入れテスト」を行なうことが多いです。「ユーザーテスト」といったり「検収」にあたったりすることもあります。
各テストを実施する際は、テストの計画やテスト内容の項目リスト(テストケース)を作成し、その結果を報告します。異常な動作などの問題があった場合は修正を行ない、再度テストします。
テスト完了後、開発したシステムをリリースすると、システムを利用できるようになります。
既存システムがあり、古いシステムから新しいシステムへ切り替える場合は「システム移行」と呼ぶこともあります。この場合、一斉移行や段階的な移行が行なわれます。
また、開発したシステムそのものに加えて、以下のような文書が納品される場合もあります。
システム開発はリリースをして終わりではなく、監視、トラブル対応や定期的なメンテナンスを継続的に行なったり、追加要望に対応しシステムを改善したりすることが必要です。
「運用」は、システムの安定稼働を確保するための管理、監視、定期的な日常メンテナンスを指します。「保守」は、障害の起因を究明しシステムを修復・調整することや、システムの改善提案とそれに基づく実施を指します。
システム開発を外部へ委託する場合、運用・保守に関する計画と予算を設定することが重要です。
運用・保守を依頼するシステム開発会社を選定する際、以下を検討しましょう。
運用・保守をシステム開発会社へ委託する場合の費用相場は、システム開発にかかった費用の約5%程度が目安という説もあります。
この計算の場合、1,000万円で開発したシステムの運用・保守には月額約50万円が必要です。ただし、あくまで一説であり、運用・保守の内容によって大きく変動するため、運用・保守に期待することを明確にすることが大切です。
以上、システム開発の基本的な流れを説明しました。開発するシステムの規模などによっては、さらに詳細な工程が導入されることもありますが、どのようなシステム開発プロジェクトにおいても、コミュニケーションや協力によって各工程を着実に進めることが、スムーズで高品質なシステムの成功に欠かせません。
システム開発の進め方は「システム開発会社へ外注する」「自社で内製する」の2つの方法があります。それぞれのメリットとデメリットは以下のとおりです。
システム開発会社へ外注する | 自社で内製する | |
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メリット |
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デメリット |
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新たにシステム部門を設けたり人員を雇用したりする場合、大規模な投資が必要です。このため単発でシステム開発を行う場合、外注の方が手間やコストを抑えられる可能性が高い場合もあります。システム開発の方法を検討する際は、自社の状況や将来の方針を考慮することも大切です。
システム開発を内製する場合、どのようなスキルが必要になるでしょうか。ここでは、システムエンジニア(SE)とプログラマー(PG)に必要なスキルを説明します。
システムエンジニア(SE)に必要なスキルは以下のとおりです。
ひとつずつ説明します。
システムエンジニア(SE)は実際にプログラムを書くわけではありませんが、システムの企画・設計にはプログラミングの知識が必要なことがあります。このためプログラミング言語の基礎的な知識は必要といえるでしょう。
システムエンジニア(SE)はプログラマー(PG)と他のメンバーや顧客の間に立ち、システム開発の指揮をとります。要望を的確に受け取り、仕様書にまとめてプログラマー(PG)へ指示します。このため情報伝達が重要になり、高いコミュニケーション能力が求められます。
システムエンジニア(SE)はプロジェクト全体の管理が求められます。企画・立案の段階から、納期や予算などの意思決定の場に参加し、決定事項にそってプロジェクトを達成する必要もあります。このため業務全体のマネジメント能力も重要です。
プログラマー(PG)に必要なスキルは以下のとおりです。
ひとつずつ説明します。
プログラミング言語は複数あるため、目的別に習得することをおすすめします。WebサービスであればJavaを使用することが多いですが、他にもRuby、Python、C言語やC++などさまざまな言語があります。
多くの場合はチームでプログラムを組むことになるため、他の開発メンバーと連携しながら仕事を進められるスキルが必要です。
システム開発を外注する場合の注意点や外注先の探し方、外注先を比較するポイントを解説します。
システム開発を依頼する際は、以下のポイントを抑えておきましょう。
システム開発の目的を具体的に設定し、何を達成したいのか、どのような問題を解決したいのかを明確にしましょう。既存のツールやサービスで解決できる場合もあるため、システム開発が本当に必要かどうかを含めて検討しましょう。また、予算と納期も具体的に設定し、システム開発会社に伝えましょう。
RFP(提案依頼書)を活用して要件を明確にすることも大切です。
価格は、システム開発会社を選ぶうえで重要な要素の一つですが、品質や提供価値も確認しましょう。また、金額に極端に差がある場合、機能などの前提条件に過不足がある場合もあります。見積もりの条件をよく確認したうえで発注先を選ぶことが大切です。
システム開発は開発して終わりではなく、システムの継続的な稼働のための運用保守が必要です。このため、システムの運用保守費用も含めてシステム開発の計画を立てましょう。
システム開発会社から見積もりを取得する際、開発費用に加えて運用保守費用の見積もりを依頼することもおすすめです。
システム開発プロジェクト成功のためには、システム開発会社へ丸投げするのではなく、システム開発会社と継続的なコミュニケーションをとることが不可欠です。
システム開発会社からの質問に素早く回答したり、定期的なミーティングで認識を合わせたり、システム開発を依頼する側の協力が必要であることを覚えておきましょう。
1つのシステム開発会社だけでなく、複数の会社から見積もりを取得することをおすすめします。複数の見積もりを比較することで相場を把握したり、開発プロジェクトについて理解を深めることが可能です。
こうしたポイントを抑えながらシステム開発を計画することで、開発プロジェクトの成功確率を高められるでしょう。
システム開発の外注先を探す方法を紹介します。
依頼内容や予算、開発期間などの条件に合わせてシステム開発会社を紹介してもらいます。マッチングサイトが提携しているシステム開発会社の中から、効率的に外注先の候補を挙げることができます。
GoogleやYahoo!などの検索エンジンを活用して、システム開発会社の公式Webサイトなどから問い合わせます。得意分野や実績を確認し、ニーズに合った外注先を探すことができますが、手間がかかる場合があります。
TwitterやInstagramなどのSNSを使用して、システム開発会社や技術者を探します。選定に時間がかかり、自社に合うかどうかを見極めるのが難しい場合もあります。
システム開発会社が出展する展示会へ参加し、開発会社の製品や技術を実際に確認したり、開発会社と直接コミュニケーションを取って相性や技術レベルを評価したりすることが可能です。選択肢が多く、どの企業を選ぶか迷うことがある点に注意が必要です。
知人やコネクションを通じて外注先を紹介してもらう方法です。信頼性のあるシステム開発会社を見つけることができます。ただし、紹介された企業が自社に適しているかを確認することが重要です。
これらの方法を組み合わせて、最適な外注先を見つける際に役立ててください。
システム開発を比較する際、以下のようなポイントで比較・検討を行なうと良いでしょう。
開発会社やメンバーの経験やスキルは、開発プロジェクトの品質やスケジュールに影響を与えます。システム開発会社の開発実績やメンバーのスキルを確認し、信頼性の高い開発会社を選びましょう。
コミュニケーション不足や認識のズレは、システム開発プロジェクトの進行に影響を及ぼす可能性があります。システム開発会社とスムーズにコミュニケーションを取ることができるかどうか確認しましょう。
開発知識だけではなく、開発するシステムに関する業界知識があることにより、課題や要望を理解しやすく、プロジェクトの成功率が高まります。
システム開発会社が、自社の業界に詳しい人材を抱えているかなども確認すると良いでしょう。
多業界・業種の企業・団体を支援し、多事業を展開する株式会社マイナビでは、さまざまな業界の開発プロジェクトに構想段階からリリース後のグロースまで伴走し、挑戦するみなさまの事業成長を支援します。
この記事ではシステム開発とは何か、概要や種類、開発の流れを解説しました。下記に、システム開発を理解するポイントをまとめておきます。
システム開発の質は、依頼内容はもちろん依頼先の企業の得意分野や実績にも左右されます。そのため、自社の開発目的を明確にし、自社の業界に詳しく真摯にコミュニケーションが取れる企業に依頼しましょう。
「自社に合う開発会社を探すのは難しそう」「どうやって依頼すればいいかわからない」という方は、ぜひ株式会社マイナビ(https://dx-offshore.mynavi.jp/)にご相談ください。
開発目的や予算をヒアリングさせていただき、最適なご提案をいたします。相場の情報を知りたいなどの気軽な相談だけでも大丈夫です。お気軽にご相談ください。
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