システム開発の保守とは?運用との違いや内製化・外注のメリット・デメリットも解説

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システム開発の保守とは?運用との違いや内製化・外注のメリット・デメリットも解説
  • 「自社のシステム運用を外注で依頼したい」
  • 「そもそもシステムの運用保守って何だろう?」

システムを安定稼働させるには、開発後の保守や運用に関する知識が必要不可欠です。

どんなに良いシステムを構築したとしても、メンテナンスや管理を担当する人がいないと動作不良が起こる可能性が上がり、最悪の場合サービスが停止してしまう場合があります。

本記事では、システムの運用保守を検討している経営者・IT担当者向けに、システム開発の費用相場を解説します。適正価格で外部委託する方法を把握するために、ぜひご参照ください。

 

 

システム開発における保守とは?

システム開発は、一般的に以下のフェーズで構成されています。

 

システム開発の流れ

  • 企画
  • システム開発の目的と目標の定義、要件分析が行われ、システムの範囲と仕様を決定する。同時に、プロジェクトの予算・タイムラインの設定も行う。
  • 開発
  • 開発では、大きく設計と実装の段階に分けられる。設計段階でシステムのアーキテクチャとデータベースの構造を定義し、実装段階で設計に基づいてソフトウェアのコーディングを行う。
  • 保守
  • 開発したシステムの稼働後のパフォーマンスを監視し、必要に応じてアップデートやバグ修正を行う。同時にユーザーサポートの提供も実施する。
  • 廃止
  • 開発したシステムの役割を終える、または新しいシステムに置き換えられる場合、データの移行やシステムの安全なシャットダウンを行うことで、システムを廃止する。

 

システム開発における保守とは、システムが稼働した後に行われます。システムの機能や性能を維持し、必要に応じて修正や改善の業務を実施します。

具体的な業務は、以下の通りです。

 

システム開発における保守の業務内容一例

  • 機能の不具合修正
  • システムの問題点を特定し、修正を行う。その際。問題の再現・原因の特定・修正の実装・テスト・デプロイなども含まれる。
  • アップデート作業
  • システムのハードウェアやソフトウェアを最新の状態に保つために、定期的にアップグレードを行う。
  • バックアップの復旧作業
  • 異常が発生した際に保存していたデータを用いて、システムが正常に稼働している状態に戻す。
  • 新機能の追加
  • ユーザーの要求やビジネスのニーズに応じて、新しい機能を設計・開発・テスト・デプロイを行う。

 

上記の業務を行うことで、システムの健全な稼働を維持します。

 

保守と運用の違い

システム開発における保守は稼働後に行われる業務なため、運用との違いがわかりにくい方もいらっしゃるでしょう。

システム開発における運用とは、システムが正常に稼働し、ビジネスプロセスが中断されないように保つ業務を指します。

システムが問題なく稼働しているか、事前に決められたプロセスに基づいて日々点検・監視するのが特徴です。万が一障害が発生した場合は、原因箇所の特定・必要に応じてシステムの復旧を行います。

具体的な業務内容は、以下の通りです。

 

システム開発における運用の業務内容一例

  • プロセス監視
  • 稼働しているシステムの負荷状況をチェック、問題が発生した場合の対処を行う。
  • ユーザーサポート
  • システムの利用方法などのユーザーからの問い合わせに対応する。
  • サーバーの起動、停止
  • アップデートや復旧などの計画的なシステム停止や万が一システムに異常が発生した際に、システムの再起動を実施する。
  • 障害対応
  • 想定以上のアクセス数でサーバーが負荷に耐えられなくなった場合や、外部からの攻撃によってシステムがダウンしてしまった際にシステムが正常な状態に戻す。

 

どちらも、システムを安定させるための業務なので似ている部分がありますが、保守はシステムの変更・改善を目的としており、運用はシステムの稼働状態を監視するのが目的という点に違いがあります。

 

システムの保守・運用の内製化・外注のメリット・デメリット

システムの保守・運用を実施するには、大きく内製と外注の2種類の方法があります。

それぞれメリット・デメリットがあるので、自社システムの保守・運用はどちらが適しているか確認してみてください。

 

内製のメリット・デメリット

システムの保守・運用を内製化するメリットは、システムが自社で完結しているので管理が容易になり、問題が発生しても迅速に対応できることです。

外部に依存しないため、セキュリティ対策も管理しやすくなります。また、システムに関する知識と経験も自社で蓄積され、将来的な改善や拡張に役立ちます。

一方、デメリットは企業のリソース(人員・時間・スキル)に大きく依存することです。リソースが不足している場合、システムの運用保守が適切に行えない可能性があります。

また、人員の採用や研修、システムのアップデートやセキュリティ対策など、初期および継続的なコストが発生するのもデメリットです。合わせて、保守・運用を適切に行うために、システムや該当技術に関する深い知識も求められます。

 

外注のメリット・デメリット

システムの保守・運用を外注するメリットは、外注先は特定の技術や業界に深い知識を持っていることが多いため、最新の技術を活用して自社のシステムを保守・運用することが可能なことです。

また、保守・運用を担当する人材の確保・研修の必要がなくなり、自社にとって重要度が高い業務に集中しやすくなります。

一方、デメリットとしては外部に委託することによる、コミュニケーションの難易度が上がることです。万が一システムにトラブルが発生した際に、原因究明や対処が迅速に行えない可能性があります。

また、保守・運用に関する知識・ノウハウが自社に蓄積されにくく、内製化したくても外注し続けないといけない可能性があります。将来的に保守・運用を内製化したい場合は、そのための体制作りも合わせて進めるといいでしょう。

 

システム開発の保守・運用を外注する方法

もし、システムの保守・運用を外注で依頼したい場合は、主に以下の外注先が挙げられます。

 

システムの保守・運用を外注する方法

  • システム開発会社
  • MSP(Managed Service Provider)
  • フリーランス

 

それぞれ違いがあるため、自社にとって適切な外注先を探す際の参考にしてみてください。

 

システム開発会社

システム開発会社に保守・運用を外注する場合は、保守・運用も見越して、システム開発を依頼する場合が多くあります。

実際にシステムを開発した会社が担当したため、システムの仕様を深く理解していることから、保守・運用を実施しやすいのがメリットとなります。

もしシステムを自社で開発し、保守・運用だけを外注したい場合は、保守・運用を専門としているシステム開発会社に依頼する手があります。

 

MSP(Managed Service Provider)

MSPとは、ITインフラストラクチャの管理や運用を担当する外部のサービスプロバイダーです。

システムの保守・運用業務を24時間行ってくれるため、24時間の監視が必要なシステムやトラブル発生時に、速やかな対応が必要なシステムの保守・運用を外注したい場合に向いています。

 

フリーランス

クラウドソーシングサービスを通じて、システムの保守・運用を専門に手掛けるフリーランスに外注するのも選択肢として挙げられます。

フリーランスに外注するメリットは、条件面や稼働内容を柔軟に相談できることです。

ただし、知識や技術力の高さはフリーランスによって差があるため、自社が求める条件を満たせるフリーランスを探すことが重要となります。

 

システムの保守・運用を外注する際のポイント・注意点

システムの保守・運用を外注すると決めた場合は、以下のポイント・注意点を押さえておきましょう。

 

システムの保守・運用を外注する際のポイント・注意点

  1. 依頼内容・範囲を明確にする
  2. 候補先の専門性・対応可能範囲を確認する
  3. 複数に見積もりを依頼して費用の妥当性を比較する
  4. 契約内容を明記する

 

各ポイント・注意点を1つずつ解説していきます。

 

依頼内容・範囲を明確にする

システムの保守・運用と一言で言っても、実際の業務は多岐に渡ります。

システムの保守・運用に何を期待しているのか、どのような範囲のサービスが必要なのかを明確に定義することで、委託先が自社の要件と一致するか判断しやすくなります。

曖昧なまま依頼してしまうと、必要な業務を行ってくれなかったり、不必要な業務が行われて余計な費用が発生したりするかもしれません。

自社が外注したいシステムの保守・運用業務は何か、適切なサービスを受けるためにも、具体的に整理しておくことが重要です。

 

候補先の専門性・対応可能範囲を確認する

外注先の候補が決まって実際に見積もり依頼を出す際、自社が求める要件を満たしてくれるか、専門性・コミュニケーションの取りやすさ・対応可能範囲を確認しましょう。

システムの保守・運用は、業者によって得意分野が異なります。また、自社システムの規模に応じて、委託先が対応可能かどうかも変わります。

そのため、見積もり依頼時に自社の要件を明確に伝えることで、依頼先の業者が自社システムに対して、どれくらい理解しているのか専門性の高さを評価しましょう。同時に、将来的にシステムの拡張や変更を見越している場合は、適切な対応能力も持っているか確認してください。

合わせて、問題が発生した際に迅速に対応してくれるか、保守・運用状況の共有を円滑に行えるか、コミュニケーションの取りやすさを見ておくこともおすすめです

 

複数に見積もりを依頼して費用の妥当性を比較する

システム開発を外注する際は、複数業者に見積もりを出すことが推奨されています。自社が依頼したい内容の相場を客観的に把握できるからです。

システムの保守・運用の費用は、一般的にシステム開発の費用の15%から30%が相場と言われています。費用の内訳は、具体的に以下の通りです。

 

  • ハードウェア運用保守費
  • データのバックアップやサーバーなどのハードウェアの故障対応
  • ソフトウェアの運用保守費
  • アプリの不具合や修正対応
  • サービス委託費
  • ヘルプデスク運営やSEO対策

 

ただ単に費用が最も安い業者を選ぶのではなく、費用に対してどのようなサービスを受けられるか確認し、最もコストパフォーマンスが高いと判断した業者に依頼しましょう。

 

契約内容を明記する

複数の業者に見積もりを依頼し、外注先が決まったら契約書の作成に進みます。

契約書には、委託業務の範囲と費用、契約期間と更新時の条項、解約条件などを記載します。契約内容に関するトラブルが発生しないためにも、双方の合意が得られるよう、契約内容をしっかり明記しましょう。

 

まとめ

この記事では、システム開発における保守・運用の業務内容や内製・外注のメリット・デメリットを解説しました。

最後に、当記事で解説した内容をまとめておきます。

 

システム開発の保守・運用まとめ

  • システム開発における保守・運用は、システムの稼働後に行われる業務である。
  • 保守とは必要に応じて修正や改善を行う業務で、運用はビジネスプロセスが中断されないように保つ業務を指す。
  • システムの保守・運用を内製化するには、担当人材の採用や研修が求められる。外注する場合は、自社システムの要件を深く理解できる専門性や対応力が高い業者を選ぶことが重要になる。
  • システムの保守・運用の外注は、システム開発会社・MSP・フリーランスと3つの選択肢がある。

 

システムの保守や運用は、自社ビジネスを円滑に進めるために重要な業務です。ないがしろにすると、トラブルが頻繁に発生しシステムが正常に稼働できなくなる可能性があります。

そのようなトラブルを防止し被害を最小限に抑えるためにも、保守・運用は万全な体制で行いましょう。

「システムの保守・運用を外注したいけど、依頼先が見つからない」「自社にとって適切な保守・運用体制が何か相談したい」という方は、ぜひ株式会社マイナビにご相談ください。予算や目的をヒアリングし、最適なご提案を提示いたします。

システムの保守・運用の相場が知りたい、他社がどのような体制で保守・運用を行なっているか気になるなど、ちょっとした疑問を聞くだけでもかまいません。ぜひ一度当社にご相談ください。