システム開発を検討していると、「QCD」という言葉を耳にしてことがあるかもしれません。
QCDとは、「品質(Quality)」「予算(Cost)」「納期(Delivery)」の頭文字を取った言葉で、ものづくり全体で重要視されています。
この記事では、企業に利益を生み出すために必要なQCDの考え方を解説していきます。また、QCD改善のために重要なポイント、PMBOK(ピンボック)の概要も紹介していきます。
システム開発において重要な要素として「品質(Quality)」「コスト(Cost)」「納期(Delivery)」があります。それらの英語の頭文字を取った名称がQCDとなります。
一般的には、全ての要素はトレードオフの関係にあり、同時に向上させるのは非常に困難とされています。
QCD改善の目的は「いかにコストをかけず、短い時間で、高品質のものを開発し提供するか」であり、どのようにしてクリアするのかが企業や組織の課題となります。
これらの要素をバランスよく改善していくことで、結果として品質の向上や利益の向上につながります。
ここでは、QCDの各要素説明していきます。
品質の目安として、停止や不具合が発生しないことやユーザーが使いやすいことなどが挙げられます。
品質が低い場合、以下のリスクを負う可能性が高くなります。
これらが発生すると、「使われない・売れない」状態となってしまうため、売上や利益が見込めない可能性が高くなります。
逆に品質ばかりを気にしすぎると、他の要素に影響が及んでしまい、「納期に間に合わない・コストがかさみ採算が取れなくなる」といったリスクが高まります。
費用は、具体的に人件費や材料費を指します。
コストを安く抑えようとしすぎると、以下のリスクを負う可能性が高くなります。
必要な費用がなにか明確にして管理を徹底すれば、品質の担保や納期内の納品にもつながります。
サービスの開始時期、販売時期をさします。
期日に遅れると、以下のリスクを負う可能性が高くなります。
一方、期日を無理に早めると、以下のリスクを負う可能性が高くなります。
期日内に納品できるよう進捗管理を徹底すれば、余計な費用の発生や品質の担保にもつながります。
先ほど、QCDの各要素にはトレードオフの関係があると説明しましたが、優先順位を付けるなら何を一番優先すべきでしょうか?
一般的に最優先されるのは、品質(Quality)と言われています。
開発するシステムやサービスにもよりますが、品質を軽視することで発生するリスクがとても大きいからです。
品質の担保を怠ると、最悪の場合、損害賠償を請求され企業経営に大きなダメージを与える事態になりかねません。
仮にコストと納期が先に決まっているプロダクトの場合、十分な品質を担保できない場合には、最低ラインの品質を考えたうえで、コストと納期を検討することが重要です。
ここまで、QCDの各要素や一番優先すべき要素を解説してきました。「では、具体的にどうすればいいのか?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
ここで知っておきたいのが、プロジェクト成功(QCD向上)のために注目されている「PMBOK(ピンボック)」という知識体系です。
PMBOKとは、「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(A Guide to the Project Management Body of Knowledge)」の略で、プロジェクトを成功させるためのプロセスをまとめたガイドです。
今回は、PMBOKのなかで特に重要なポイントを解説します。
スコープ管理とは、成果物や目標、作業範囲を定義して管理することです。
スコープ管理には、以下の2種類があります。
スコープ管理は、確実に目標を達成するためにPMBOKのなかで特に重要な要素を担っています。
プロジェクトに関わる要員(人材・資材)を管理します。必要なタイミングで必要な要員を集め、適切にタスクの割り振りを行います。
チームの編成や人材の育成、物的資源の使用率の管理などもおこなうことで、システム開発に必要な要員を無駄なく管理ことが主な役割です。
コミュニケーション管理は、プロジェクトに係る情報の把握・伝達を担います。
例えば、ステークホルダーとの関係性の明確化、プロジェクト情報の配布、進捗状況や実績の報告書作成などが挙げられます。
相手の直接的なコミュニケーションに止まらず、プロジェクト内のコミュニケーションインフラの整備を徹底することが目的です。
リスク管理は、事前に想定されるリスクを予期し、プロジェクトの進行をコントロール(回避、軽減)していきます。
起こりうるリスクを洗い出すだけでなく、発生する確率や対処する優先順位も明確にすることが重要です。
また、継続的に進捗を監視をすることで、突発的に発生するリスクが起きた場合も素早く検知、対処をすることで失敗の防止につなげられます。
プロジェクトを成功させるために必要なものを明確にします。
何が必要かはもちろん、いつまでにいくつ必要か、どのように調達するのかなど、調節に関わる要素を整理することが重要です。
また、調達時における契約周りも管理します。
近年ではQCDにさらなる要素を加えた、「QCDS」や「PQCDSM」の考え方も広まってきています。
それぞれ、新たに加わった要素を1つずつ解説していきます。
品質の良い製品でも、生産の過程で人的被害が発生しては品質不良と同じように、企業経営にダメージを与えるリスクがあります。
生産現場の安全性を保ち、従業員全員の安全を確保することが重要です。
納品後の十分やサービスやサポートも、顧客満足度向上において重要な要素です。
システムそのもの価値だけでなく、納品までの顧客体験を丁寧におこない、アフターフォローの強化を図ることで、企業のブランド力向上につなげられます。
現在は人材不足が叫ばれており、限られた労力の中でいかに生産性を生み出すのかがとても重要になってます。
QCDを達成できよう、継続的な生産性向上を図る活動を進めいくことも求められます。
働きがいや組織活性化度など、プロジェクトに関わるメンバーのやる気やモチベーションを管理します。
QCDの達成を注力し過ぎた結果、メンバーの心の健康が阻害されては本末転倒です。
さまざまな手段が考えられますが、アンケート調査を実施して満足度評価やお客様の生の声を聞くことで、モチベーション向上につなげられます。
SDGsが重要視されているなか、企業活動においても環境への配慮の視点は無視できません。CO2の排出量削減への取組みなど、環境へ配慮した循環型社会の形成も重要になってきています。
プロジェクトを進めるうえで、環境に影響を与えうる要素も把握しておきましょう。
当記事では、QCDの各要素の内容や評価・達成方法を解説しました。
品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)を適切に管理することは、円滑なプロジェクト運営には欠かせません。そのためには「PMBOK」に基づいて、プロセスを適切に管理することが重要です。
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